恋愛対象外に絆される日
照明が少し落とされて、スポットライトに照らされながら陽茉莉ちゃんと水瀬さんが入場した。黄色を基調としたドレスはとても華やかで陽茉莉ちゃんにぴったり。そんな華やかさに負けないくらいの笑顔が素敵な陽茉莉ちゃん。

「素敵……」

「水瀬さんがすごく嬉しそうだ。あんな顔するんですね」

「そりゃそうでしょ」

「いや、俺いつも睨まれてたから」

「陽茉莉ちゃん取られるって思われてたんじゃないの?」

「取らないし」

「やめてよ」

「そっちから言ったくせに」

遥人は陽茉莉ちゃんが好きだったんだよね。だからちょっと思うところもあるのかな、なんて思ったんだけど――。

「俺は結子さんだけですからね」

心を見透かされたかのように念を押された。
この場で言われるとちょっと恥ずかしい。(でも嬉しい)

フリータイムになって、みんなが陽茉莉ちゃんの元に集まる。やっぱり陽茉莉ちゃんは人気者。みんな陽茉莉ちゃんが大好きなのよね。

少し人が捌けてから、私と遥人も陽茉莉ちゃんの元に行った。疲れているだろうに、陽茉莉ちゃんはそんなこと微塵も感じさせないくらいの笑顔で迎えてくれる。

「陽茉莉ちゃん、水瀬さん、ご結婚おめでとうございます」

「結子さん、遥人くん~~~~」

笑顔だった陽茉莉ちゃんの顔がくしゃっと崩れた。そのまま私に抱きついてきたので慌てて受け止める。よろけたところをすかさず遥人が支えてくれた。

「うええ~」

「陽茉莉ちゃん?」

なぜか私の胸で大泣きする陽茉莉ちゃんに会場全体がザワザワっとなった。一体どうしたというのだろう。困惑していると水瀬さんが慈しむように微笑んだ。
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