恋愛対象外に絆される日
02
寒い。
風が吹きすさぶ、ザ・冬。

それでも洗濯物は干さなきゃいけないわけで、ベランダでぶるりと震えながら手短に作業をする。乾燥機があったらよかったけど、あいにく一人暮らしの私の家には小さめの古い洗濯機しかない。この洗濯機ももう何年使ってるだろう。壊れないかぎり使い続けるつもりだけど。

長峰に借りたマフラーもネットに入れて洗った。
鼻水つけちゃったし、早く洗濯して返さなきゃいけない。

だけど――。

「あれ？　やばっ」

変なシワと変な縮みができている。いわゆる型崩れってやつだ。洗濯表示を見て洗濯したのに、どうしてこうなったのだろう。

パンパン叩いてシワも伸ばす。今は濡れてるからこうなってるだけで、乾いたらきっともとに戻るわよね？

自分に言い聞かせるように丁寧にマフラーを干した。クリーニングに出せばよかったなんて、後の祭りだ。

昨日降っていた雪はすっかり止み、ホワイトクリスマスが嘘だったかのように跡形もない。地面が少し濡れているだけ。そして寒い。

長峰、マフラーなくて寒いかな？

いやいや、大人なんだから、別のマフラーとか別の防寒対策するだろう。
……でも、これお気に入りだったらどうしよう。

ベランダで冷たい風に揺られるマフラーを横目に見ながらささっと朝食を済ませて、いつも通り出勤した。

とりあえず昨日の反省をいかしてハンカチは持った。彼氏と別れちゃったし、女子力上げていかなくちゃね。
< 12 / 74 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop