恋愛対象外に絆される日
04
おかしい。
どうしてこうなった。

マフラーのお詫びにうどんを奢ることにした。
うん、わかる。

お会計するときに、レトワールで買った菓子折りを長峰に持っててもらった。
うん、わかる。

それを、重いからって理由でそのまま長峰が持って歩いてくれてるんだけど。
……まあ、優しいよね、わかる。

問題はその先。

「結子さんちって徒歩圏内なんだ?」

「そうだけど。ねえ、本当にうちの掃除するつもり?」

「暇なので。嫌なら帰りますけど」

嫌ではない。むしろバンバン掃除してほしい。私、掃除苦手だもの。だけど……だけどさぁ……これって年越しデート設定が続いてるってこと? そういうことなの?

「長峰って変わってるよね」

「褒めてます?」

「褒めてはいないわよ」

なんだよ、褒めるって。
どこに褒め要素があるのよ。

長峰の強引さに負けて(いや、そこまで強引でもなかったけど)、大掃除を手伝ってもらうことにした。遅かれ早かれ掃除はしたかったし、毎年貴文に手伝ってもらってたから一人でやるのはしんどいなって思っていたし。

「明日は実家に?」

「うん、午後からね。そんなに遠くないからちょっと顔出して一泊して帰ってくるつもり」

「だからレトワール」

「そう、うちの親バームクーヘンとチョコブラウニーが大好きなのよ」

「あー、チョコブラウニーは俺が担当したんで、最高に美味いと思います。ご両親によろしくお伝えください」

「ふふっ、伝えとくわ」

お菓子作りに関してはいつも自信満々で自画自賛の長峰。作るの好きなんだろうなぁって思う。パティシエって職業は長峰にぴったり。
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