恋愛対象外に絆される日
ぐだぐだ考えていたからかベッドに入ってもなかなか寝つけず、結局寝入ったのは朝方で、そのままお昼まで爆睡してしまった。適当にごはんを食べて実家に行く準備をする。

「うわ、またやってしまった」

コートを羽織って気づく。ポケットに長峰の手袋が入っていることに。あーもう、私ってばどうしてこう抜けてるのかな。また長峰が寒い思いしちゃうじゃないの。彼は寒がりなんだから。

数日仕事は休みだから長峰には会わない。しかも私は今から実家へ行くから、返すのは仕事初めになってしまう。

「とりあえずメッセージだけでも送っておくか」

携帯電話のメッセージアプリを開けば、陽茉莉ちゃんからあけましておめでとうスタンプとメッセージが届いていた。

【結子さんに幸あれ(ハートマーク)】

はいはい、ありがとー。マメな子だなあ、陽茉莉ちゃんは。そうよね、新年を迎えたんだから心機一転頑張るわ。頷きながら、今年もよろしくスタンプを送っておいた。

そして長峰にメッセージを送るためにアイコンをタップ。瞬間、携帯電話がブブッと揺れてビクッとなる。

「うわぁぁぁ……」

思わず声が出た。だって今まさにメッセージを送ろうとしていた長峰からメッセージが届いたんだもの。

【あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。】

文章のみ。絵文字もスタンプもない。しかも定型文かってくらい、味気ない。

「何でそんな畏《かしこ》まってるのよ」

ツッコミつつも、どういうわけか顔はにやけている。だって……嬉しいんだもん。こんな味気ない定型文なのに、長峰からメッセージを送ってきてくれたってことが、嬉しかった。
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