恋愛対象外に絆される日
「ねえ、今日うちで夕飯食べない?」
「行きます」
二つ返事で承諾してくれる。偶然にも今日は終業時間が同じ。明日は待ちに待ったラーメンデートの日。だから今日は前夜祭だ。
「泊まりたいんですけど」
「ん? いいよ」
大晦日は泊まるか泊まらないかでどぎまぎしてしまったけれど、今はもう恋人だもの。なんの躊躇もない。むしろウェルカムだよ。
長峰は着替えを取りに一旦家に帰り、私はその間に夕食を作った。最近作って美味しかった豚キムチに豆ご飯、お味噌汁。豚キムチは大皿にした。一緒につついて食べたいからだ。
美味しいって言ってくれるといいな。長峰のことを考えながら料理をすると何だか楽しい。そういう気持ち、ずいぶんと忘れていた気がする。
ガチャリと鍵の開く音がして長峰が入ってきた。貴文から返してもらった合鍵はそのまま長峰に渡したのだ。
「なんかすごく美味そうなにおいがする」
「結ちゃん特製豚キムチよ」
「うわ、めちゃくちゃ楽しみ。あ、そうだ、これ」
チャリ……と差し出されたのは鍵?
両手で受け取る。
「俺んちの合鍵。結子さん持ってて」
「うわ、いいの?」
「良いも何も、俺も結子さんちの合鍵持ってるし。交換です。明日は俺んち来ます?」
「行く行く!」
食い気味に答えたら、ふっと微笑まれた。
楽しみがまたひとつ、増える。
「ご飯食べよ」
「もう腹ペコっすね。今日も働きすぎた」
一緒に手を合わせていただきますをする。長峰が豚キムチをぱくりと口に入れごくんと飲み込むまで、思わず見守ってしまった。
「めちゃくちゃ美味い。最高」
「でしょう」
「ははっ、結子さんのドヤ顔」
長峰のがうつっちゃったみたい。だけどこうやって笑い合えるのって素敵。仕事の疲れも吹き飛んじゃう。
「デザートありますよ」
「わ、嬉しい」
長峰が出してくれたのはレトワールの小さなケーキ箱。開けたら中にはシュークリームが二つ入っていた。甘い香りが広がる。
「念願の!」
「今日のは俺が焼いたので美味い確定」
「ドヤるな〜」
またクスクスと笑う。それがとても楽しくて幸せ。長峰は私に小さな幸せをいっぱいくれる。まるで花を一本一本くれるかのように、それはやがて大きな花束になる。
「私もあげたいなー、幸せの花束」
「何の話?」
「なんでもないよー」
ぎゅっと抱きついたら、包み込むように抱きしめてくれた。長峰は甘い匂いがする。この空気を吸うだけで幸せ。
「行きます」
二つ返事で承諾してくれる。偶然にも今日は終業時間が同じ。明日は待ちに待ったラーメンデートの日。だから今日は前夜祭だ。
「泊まりたいんですけど」
「ん? いいよ」
大晦日は泊まるか泊まらないかでどぎまぎしてしまったけれど、今はもう恋人だもの。なんの躊躇もない。むしろウェルカムだよ。
長峰は着替えを取りに一旦家に帰り、私はその間に夕食を作った。最近作って美味しかった豚キムチに豆ご飯、お味噌汁。豚キムチは大皿にした。一緒につついて食べたいからだ。
美味しいって言ってくれるといいな。長峰のことを考えながら料理をすると何だか楽しい。そういう気持ち、ずいぶんと忘れていた気がする。
ガチャリと鍵の開く音がして長峰が入ってきた。貴文から返してもらった合鍵はそのまま長峰に渡したのだ。
「なんかすごく美味そうなにおいがする」
「結ちゃん特製豚キムチよ」
「うわ、めちゃくちゃ楽しみ。あ、そうだ、これ」
チャリ……と差し出されたのは鍵?
両手で受け取る。
「俺んちの合鍵。結子さん持ってて」
「うわ、いいの?」
「良いも何も、俺も結子さんちの合鍵持ってるし。交換です。明日は俺んち来ます?」
「行く行く!」
食い気味に答えたら、ふっと微笑まれた。
楽しみがまたひとつ、増える。
「ご飯食べよ」
「もう腹ペコっすね。今日も働きすぎた」
一緒に手を合わせていただきますをする。長峰が豚キムチをぱくりと口に入れごくんと飲み込むまで、思わず見守ってしまった。
「めちゃくちゃ美味い。最高」
「でしょう」
「ははっ、結子さんのドヤ顔」
長峰のがうつっちゃったみたい。だけどこうやって笑い合えるのって素敵。仕事の疲れも吹き飛んじゃう。
「デザートありますよ」
「わ、嬉しい」
長峰が出してくれたのはレトワールの小さなケーキ箱。開けたら中にはシュークリームが二つ入っていた。甘い香りが広がる。
「念願の!」
「今日のは俺が焼いたので美味い確定」
「ドヤるな〜」
またクスクスと笑う。それがとても楽しくて幸せ。長峰は私に小さな幸せをいっぱいくれる。まるで花を一本一本くれるかのように、それはやがて大きな花束になる。
「私もあげたいなー、幸せの花束」
「何の話?」
「なんでもないよー」
ぎゅっと抱きついたら、包み込むように抱きしめてくれた。長峰は甘い匂いがする。この空気を吸うだけで幸せ。