妖怪ホテルと加齢臭(改訂版)久遠と天音
東京に戻り、いつもの日常生活が始まった。
天音は、来年の3月で退職する希望を管理職に伝えた。

久遠がやっていたように、SNSに写真をたくさんアップして宣伝してみようか。

秋には、湯に美しい赤い紅葉の葉。
夏は青もみじ、冬はゆず湯。

初冬のさざんかの花びらが散らばり、露天の水面に揺れるのも美しい。
雪の降る中、湯気が立ち込めて、暖かい湯に体を沈める解放感と脱力感。

天と地と水。
すべての美を結集するのが、自慢の露天風呂。
夜になれば、月と星が宴をするように広がる。

天音がいろいろ考えていると、近藤からメールが届いていた。
それは久遠が、東京の病院に入院しているという知らせだった。

もう、関係はないのだけれど・・・
お見舞いくらいはしなくてはならないだろう。

また近藤とはどこか営業関係で、関わることもあるかもしれない。
これもビジネスだ。
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