朱の悪魔×お嬢様
†事件
その日の夜。
月明かりが控え目にたくさんの家の屋根を照らし出していたときの事。
凜の家
かなり広いリビングで凜と父が久しぶりの親子での食事を楽しんでいた。
十何人も座れそうな長いテーブルの上にそこそこ豪華な料理が並べられ、二人はテーブルの端と端に座っていた。
二人の距離は少し遠かったが、お互い十分に声は届く。
「凜、最近何か楽しいことはあったかい?」
凜は顔を上げて父の顔を見る。
こうゆう時にしか滅多に着ない女性らしい服を着て、髪をセットし、薄く化粧もしていた凜は普段よりいっそう美しかった。
「う~ん、そうねぇ、特には無かったけれど…あ、昼間可愛い子にあったわ」
クスクス笑いながら言う。
「可愛い子?」
「えぇ。本屋であったの。何か、こう…とにかく、惹かれたのよね」
なんとも表しづらい感情に悩みながらも、それだけは伝えた。
「お、男か?」
少し身を乗り出し、動揺を隠し切れない声音で聞く。
「違うわよ。可愛い女の子♪」
と言ってニッコリ微笑んでみせた。
父が安堵の息を吐いたのはきっと気のせいではないだろう。
「そうかそうか。是非とも私も会ってみたいね。その子に」
「どうかしら?もう二度と会えないかもしれないもの」
首を傾げて疑問府を浮かべる父。
だって、昼間ちょっと会っただけの女の子。知っている情報は名前だけ。また会える保障なんて全く無いのだ。
凜は口を軽く拭いて席を立つ。
「ごちそう様」
「もう行くのか?」
父が残念そうに凜の顔をみやる。
「えぇ。…邪魔じゃなかったら後で父様の部屋に行ってもいいかしら?」
「あぁ、いいよ」
それを聞いて嬉しそうにニッコリと笑う父。
凜も笑みを返してからリビングを出た。
月明かりが控え目にたくさんの家の屋根を照らし出していたときの事。
凜の家
かなり広いリビングで凜と父が久しぶりの親子での食事を楽しんでいた。
十何人も座れそうな長いテーブルの上にそこそこ豪華な料理が並べられ、二人はテーブルの端と端に座っていた。
二人の距離は少し遠かったが、お互い十分に声は届く。
「凜、最近何か楽しいことはあったかい?」
凜は顔を上げて父の顔を見る。
こうゆう時にしか滅多に着ない女性らしい服を着て、髪をセットし、薄く化粧もしていた凜は普段よりいっそう美しかった。
「う~ん、そうねぇ、特には無かったけれど…あ、昼間可愛い子にあったわ」
クスクス笑いながら言う。
「可愛い子?」
「えぇ。本屋であったの。何か、こう…とにかく、惹かれたのよね」
なんとも表しづらい感情に悩みながらも、それだけは伝えた。
「お、男か?」
少し身を乗り出し、動揺を隠し切れない声音で聞く。
「違うわよ。可愛い女の子♪」
と言ってニッコリ微笑んでみせた。
父が安堵の息を吐いたのはきっと気のせいではないだろう。
「そうかそうか。是非とも私も会ってみたいね。その子に」
「どうかしら?もう二度と会えないかもしれないもの」
首を傾げて疑問府を浮かべる父。
だって、昼間ちょっと会っただけの女の子。知っている情報は名前だけ。また会える保障なんて全く無いのだ。
凜は口を軽く拭いて席を立つ。
「ごちそう様」
「もう行くのか?」
父が残念そうに凜の顔をみやる。
「えぇ。…邪魔じゃなかったら後で父様の部屋に行ってもいいかしら?」
「あぁ、いいよ」
それを聞いて嬉しそうにニッコリと笑う父。
凜も笑みを返してからリビングを出た。