朱の悪魔×お嬢様
-序章-

 
 カツン…カツン…カツン…


 静かな、暗く長い廊下に靴の音だけがいやに響く。

 靴音が急に途絶え、音の主が廊下の窓から外を見る。

 時刻はちょうど夜中の12時をまわったところだろうか。

 いくら夜中だからと言っても静かすぎる。人の気配が全くしない。


 …当たり前か。

 だって、さっき私が殺したのだから。この屋敷の中にいた人を。全員。


 急になんとも言い表せない、不思議な感情がこみ上げてきた。

 何だろう?怒り?悲しみ?虚しさ?快楽?罪悪感?…もう頭の中がゴチャゴチャだ。


 ―――誰か…誰でもいい。誰か…助けて…





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