朱の悪魔×お嬢様
†Side 紅い悪魔
身体に染み付いた血の臭い
耳にこびりついて離れない悲鳴
目の奥で消えない死人の顔
忘れられない肉を貫く感触
脳内に二人の『私』がいた。
本当の『私』と別人の様な全く知らない、自分でも分からない『私』。
―――恐い
『私』が消えてしまいそうで。片方の『私』だけになってしまいそうで。
…あれ?どっちの『私』が消えるの?どっちが本当の『私』?どっち?どっちも本当の『私』なの?こんなに違うのに?どっち?どっち?
私は頭を抱えて膝をついた。
また頭痛と吐き気が襲ってくる。
頬を冷や汗が一筋流れた。
(いくら考えてもきりが無い、か…)
時々『私』についてふと考える時がある。
しかし、いつも決まって答えは見つからなかった。
そもそも答えなどあるのだろうか。
今日も人を殺した。
いつもよりは少なかった気がする。…人数なんて関係ないけれど。
少し髪が乱れたと思うが鏡など見る気もしない。
血まみれの自分など、見たくなかった。
手に、身体に、べっとりとついた血。
我ながらよくあんなに殺せるなと思う。
あんなに殺しても冷静な自分。いや、人を殺せる時点ですでに狂っているだろう自分。
ドクン…ドクン…ドクン…
唐突に早まりだした鼓動に自分でも分かるくらい焦り始める。
(やばい…“時間”だ…)
胸を押さえ、急いで屋敷を出ようとしたその時、誰かが泣いている声がかすかに聞こえた。
(屋敷にいる者は全員殺したはず…誰だ?)
焦る気持ちの中、かすかな泣き声をたよりに駆ける。
その間も鼓動はドンドン早まっていった。
耳にこびりついて離れない悲鳴
目の奥で消えない死人の顔
忘れられない肉を貫く感触
脳内に二人の『私』がいた。
本当の『私』と別人の様な全く知らない、自分でも分からない『私』。
―――恐い
『私』が消えてしまいそうで。片方の『私』だけになってしまいそうで。
…あれ?どっちの『私』が消えるの?どっちが本当の『私』?どっち?どっちも本当の『私』なの?こんなに違うのに?どっち?どっち?
私は頭を抱えて膝をついた。
また頭痛と吐き気が襲ってくる。
頬を冷や汗が一筋流れた。
(いくら考えてもきりが無い、か…)
時々『私』についてふと考える時がある。
しかし、いつも決まって答えは見つからなかった。
そもそも答えなどあるのだろうか。
今日も人を殺した。
いつもよりは少なかった気がする。…人数なんて関係ないけれど。
少し髪が乱れたと思うが鏡など見る気もしない。
血まみれの自分など、見たくなかった。
手に、身体に、べっとりとついた血。
我ながらよくあんなに殺せるなと思う。
あんなに殺しても冷静な自分。いや、人を殺せる時点ですでに狂っているだろう自分。
ドクン…ドクン…ドクン…
唐突に早まりだした鼓動に自分でも分かるくらい焦り始める。
(やばい…“時間”だ…)
胸を押さえ、急いで屋敷を出ようとしたその時、誰かが泣いている声がかすかに聞こえた。
(屋敷にいる者は全員殺したはず…誰だ?)
焦る気持ちの中、かすかな泣き声をたよりに駆ける。
その間も鼓動はドンドン早まっていった。