朱の悪魔×お嬢様
-第1章-
†羽須美凜
春のある日の夜明け頃の事。
どこもまだ人は起きてはいなく、しーんと静まり返っていた。
ここ、東京のとある高級住宅街もそうだ。
そしてこの高級住宅街の中でも、一際目を引く一軒の大きなお屋敷があった。
洋館風の建物で、中庭もお屋敷もとてつもなく大きい。見るからにお金持ちの中のお金持ちといったふうである。
そんなお屋敷の2階の一室。
朝の眩しい光が控え目に部屋の中へ差し込み、部屋にいた1人の女性が薄く目を開けた。
歳は10代後半くらい。肩よりも少し長い黒髪に、澄んだ黒い瞳。顔立ちはくっきりしている。
女性は身体を起こして小さくあくびを一回し、虚ろな瞳でぼーっと部屋の中を見ていた。まだ頭は起きていないようだ。
そこにドアをノックする音が響く。
「はい」
女性が眠たげな声で短く返事をすると
「失礼します」
と言いながらドアが開き、黒いスーツを纏った白髪の老人が入ってきた。
老人と言えども背筋をピンと伸ばし、姿勢はかなり良く、実年齢よりも若く感じさせる。この屋敷に仕える最年長の執事だ。
「お早う御座います。朝刊をお持ち致しましたが、お読みになられますか?」
他の屋敷はどうだか知らないが、この屋敷では朝一番に執事に新聞を持って来させている。ある『事件』の最新情報を知るためだ。
「えぇ。頂戴」
女性は当たり前のように言い、執事から新聞を受け取る。
女性はすぐに読み始め、そして数秒もせずに
「またか…」
と呟いた。どうやら頭も起きたらしい。執事は直立不動の状態で黙って見ていた。
女性が見ている面には、大きく
『紅い悪魔 また現れる!!』
と書いてあり、隣には写真も大きく載っていた。それは決して気分の良い写真ではない。
どこかの建物の中らしく、一面に人の死体が転がり、折り重なり、壁も床も血だらけだ。
どうして新聞社は朝からこうゆう写真を出すのだろうか、と抗議をしたくなるようなものだが、そんな事は誰もしないだろう。
今、一番気になっている事件の事だから。
どこもまだ人は起きてはいなく、しーんと静まり返っていた。
ここ、東京のとある高級住宅街もそうだ。
そしてこの高級住宅街の中でも、一際目を引く一軒の大きなお屋敷があった。
洋館風の建物で、中庭もお屋敷もとてつもなく大きい。見るからにお金持ちの中のお金持ちといったふうである。
そんなお屋敷の2階の一室。
朝の眩しい光が控え目に部屋の中へ差し込み、部屋にいた1人の女性が薄く目を開けた。
歳は10代後半くらい。肩よりも少し長い黒髪に、澄んだ黒い瞳。顔立ちはくっきりしている。
女性は身体を起こして小さくあくびを一回し、虚ろな瞳でぼーっと部屋の中を見ていた。まだ頭は起きていないようだ。
そこにドアをノックする音が響く。
「はい」
女性が眠たげな声で短く返事をすると
「失礼します」
と言いながらドアが開き、黒いスーツを纏った白髪の老人が入ってきた。
老人と言えども背筋をピンと伸ばし、姿勢はかなり良く、実年齢よりも若く感じさせる。この屋敷に仕える最年長の執事だ。
「お早う御座います。朝刊をお持ち致しましたが、お読みになられますか?」
他の屋敷はどうだか知らないが、この屋敷では朝一番に執事に新聞を持って来させている。ある『事件』の最新情報を知るためだ。
「えぇ。頂戴」
女性は当たり前のように言い、執事から新聞を受け取る。
女性はすぐに読み始め、そして数秒もせずに
「またか…」
と呟いた。どうやら頭も起きたらしい。執事は直立不動の状態で黙って見ていた。
女性が見ている面には、大きく
『紅い悪魔 また現れる!!』
と書いてあり、隣には写真も大きく載っていた。それは決して気分の良い写真ではない。
どこかの建物の中らしく、一面に人の死体が転がり、折り重なり、壁も床も血だらけだ。
どうして新聞社は朝からこうゆう写真を出すのだろうか、と抗議をしたくなるようなものだが、そんな事は誰もしないだろう。
今、一番気になっている事件の事だから。