朱の悪魔×お嬢様
凛が出て行き、一人になった凌は誰にともなくポツリと呟く。
「あの子は…死なないといいのだけれど…」
一人の老婆は、ただ無力に、無事を祈ることしか出来なかった。
*-*-*-*-*-*-*-*-*
部屋を出ると、廊下の端に腰をかけて庭に向かって足を投げ出している美玖がいた。
襖が開く音で気付いたらしく、凛を振り向いた状態で止まっている。
気まずそうに視線をさ迷わせていたが、結局視線は床に止まった。
「…私は、美玖に話してもらいたかったな」
「すみません…私、その、説明とか…上手く、出来なくて…」
美玖の表情は見えない。
でも、声の震えから嘘をついていないことくらい容易に分かる。
「分かった、もういいわ」
凛は困ったように息をついたが、そんな態度とは逆に、目や口元は優しく微笑んでいた。
うつむいている美玖の頭にそっと手を置く。
美玖の身体が一瞬びくっと震えたが、すぐに驚いたように顔を上げた。
「帰りましょう?」
凛の優しい問いかけに、美玖は目をぱちくりとさせる。
だがすぐに
「はいっ!」
満面の、嬉しそうな表情を凛に向けた。
「あの子は…死なないといいのだけれど…」
一人の老婆は、ただ無力に、無事を祈ることしか出来なかった。
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部屋を出ると、廊下の端に腰をかけて庭に向かって足を投げ出している美玖がいた。
襖が開く音で気付いたらしく、凛を振り向いた状態で止まっている。
気まずそうに視線をさ迷わせていたが、結局視線は床に止まった。
「…私は、美玖に話してもらいたかったな」
「すみません…私、その、説明とか…上手く、出来なくて…」
美玖の表情は見えない。
でも、声の震えから嘘をついていないことくらい容易に分かる。
「分かった、もういいわ」
凛は困ったように息をついたが、そんな態度とは逆に、目や口元は優しく微笑んでいた。
うつむいている美玖の頭にそっと手を置く。
美玖の身体が一瞬びくっと震えたが、すぐに驚いたように顔を上げた。
「帰りましょう?」
凛の優しい問いかけに、美玖は目をぱちくりとさせる。
だがすぐに
「はいっ!」
満面の、嬉しそうな表情を凛に向けた。