朱の悪魔×お嬢様
†柊美玖
「起立!…礼っ!」
「ありがとうございましたっ!」
日直の号令に合わせて挨拶をし、一斉に生徒は席を立ち上がって各自の放課後の行動に移った。
清掃を始める人もいれば部活に向かう人、学校指定の鞄に教科書を放り込んでさっさと帰っていく人がいる。
そんな中、一番窓側の列の一番後ろの席に座る1人の少女も鞄に黙々と荷物を詰め込んで帰り支度をしていた。
荷物を詰め込み終わると鞄を肩に掛け、後ろのドアに向かう。
「あ!柊さん、ちょっと待って!」
柊と呼ばれた少女の前の席の子が、今にも教室を出て行こうとしている彼女を呼び止めた。
「はい、プリント」
呼び止めた少女はニッコリと笑顔でプリントを差し出す。
「ありがとう」
彼女は笑みを返さずそっけなく礼を言い、プリントを受け取った。
ちらりとプリントに目をやると『授業参観』という大きな文字が目に入ったが、彼女は全く関心を示さずにプリントを鞄に無造作にねじ込む。
じゃ、と軽く挨拶をしてから彼女はクラスメイトに背を向け、呼び止めるひまを与えずに教室を今度こそ出て行った。
プリントの授業参観を話題に色々と話そうとしていたクラスメイトはポツンと1人残されてしまう。
「う~ん」
プリントを渡した少女がうなりながら廊下に出ると、待っていましたとばかりに別の少女が駆け寄ってきた。
「どうだった?」
「柊さん、すっごい美人なのに、な~んか無口で絡みづらいのよね~」
まるで我が子の悩みを長年の友人に相談するかの様な口振りである。
勿論、彼女にそんな風に言われる筋合いは全く無い。
先ほどの無口な少女の名前は『柊美玖(ひいらぎみく)』
14歳の中学2年生。水に濡れているかの様なストレートの黒髪に黒い瞳。肌は白く、整った顔立ちの美少女だ。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能という漫画でしかありえなさそうな三拍子が揃った少女だが、唯一の欠点がクールでそっけない性格だった。
「ありがとうございましたっ!」
日直の号令に合わせて挨拶をし、一斉に生徒は席を立ち上がって各自の放課後の行動に移った。
清掃を始める人もいれば部活に向かう人、学校指定の鞄に教科書を放り込んでさっさと帰っていく人がいる。
そんな中、一番窓側の列の一番後ろの席に座る1人の少女も鞄に黙々と荷物を詰め込んで帰り支度をしていた。
荷物を詰め込み終わると鞄を肩に掛け、後ろのドアに向かう。
「あ!柊さん、ちょっと待って!」
柊と呼ばれた少女の前の席の子が、今にも教室を出て行こうとしている彼女を呼び止めた。
「はい、プリント」
呼び止めた少女はニッコリと笑顔でプリントを差し出す。
「ありがとう」
彼女は笑みを返さずそっけなく礼を言い、プリントを受け取った。
ちらりとプリントに目をやると『授業参観』という大きな文字が目に入ったが、彼女は全く関心を示さずにプリントを鞄に無造作にねじ込む。
じゃ、と軽く挨拶をしてから彼女はクラスメイトに背を向け、呼び止めるひまを与えずに教室を今度こそ出て行った。
プリントの授業参観を話題に色々と話そうとしていたクラスメイトはポツンと1人残されてしまう。
「う~ん」
プリントを渡した少女がうなりながら廊下に出ると、待っていましたとばかりに別の少女が駆け寄ってきた。
「どうだった?」
「柊さん、すっごい美人なのに、な~んか無口で絡みづらいのよね~」
まるで我が子の悩みを長年の友人に相談するかの様な口振りである。
勿論、彼女にそんな風に言われる筋合いは全く無い。
先ほどの無口な少女の名前は『柊美玖(ひいらぎみく)』
14歳の中学2年生。水に濡れているかの様なストレートの黒髪に黒い瞳。肌は白く、整った顔立ちの美少女だ。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能という漫画でしかありえなさそうな三拍子が揃った少女だが、唯一の欠点がクールでそっけない性格だった。