猫の初恋
「え、そうだったんだ?」

むしろ不良ってみんな喧嘩が大好きなのかと思ってた。

これも意外な一面かな。

「それに今日みたいなことがあると黙ってられなくてつい飛び出しちしまうんだよな。けどお前が一緒にいる時だったのに軽率だった」

「そんなの、私だって黙ってなんていられなかったよ」

そっか、でも一条くんが喧嘩を楽しんでするような人じゃなくて良かった。

「さっきのは仕方がないよ、だって犬がいじめられてたんだもん。って、あ、そうか」

私はあることを思い出した。それは以前からほんのちょっと気になっていたこと。

「以前、佐伯さんが犬の散歩をしてた時に黒門中学の不良に絡まれてるところを一条くんに助けてもらったって言ってたよね?あれって……」

「は?佐伯って。あのうるさいやつか」

彼はあまり興味なさそうに言って頬を指でかいた。

「それって、もしかしたら佐伯さんを助けたわけじゃなくて連れていた犬を助けてあげたの?」

「んー、まあ、そうだけど」
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