猫の初恋
ぽつりと呟いてベンチの上で膝を抱えて丸くなった。

「謝るなら、本人に言ってやれば?」

「えっ」

聞き覚えのある声にハッとして顔を上げたら、いつの間にか目の前には一条くんが神妙な表情で私を見つめていてびっくりした。

まさか、探しに来てくれたの?

でも後ろめたくて目線を逸らせた。

「となり、座っていいか?」

「……うん」

人一人分の隙間を開けて腰掛ける彼。

しばらくしてこちらを伺い遠慮がちに話しかけてきた。

「調子どう?」

「……」

「どんな気分?」

「最低な気分だよ」

「そうだよな」

そこで一旦押し黙ってしまったけどしばらくして意を決したように尋ねてきた。

「猫宮って、友達とかほしくない人?」

ぶっきらぼうに尋ねてくる彼。

「……」

「あ、わりい。嫌味とかじゃなくて。よくわからなくて」

「うん、そうだよ。友達なんて欲しくない。1人でいるほうが好きなの」
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