猫の初恋
「猫宮は自分のことを数に入れなくていいって言ったけどさ、もうしっかりクラスの数に入ってんだよ」

「……」

「最後に、俺はどうしたらいい?」

彼は目を細めて私を見つめる。

「え?」

「猫宮と一緒のグループになれたら楽しいだろうなって期待してたのにフラれた俺の気持ちはどうしたらいい?」

「フラれたって、その言い方はおかしい」

「おかしくない。俺だって女子に声をかけるのなんて勇気がいったんだぞ」

そう言ってニッと意味深に笑うから、ドキッとした。うそ、一条くんたら女子に対してこういう表情もするんだ。

「そ、そんな」

誤解を招くような言い方しないでほしいのに私ったら口元が勝手に緩んじゃう。

頬がほんのり熱いのは木漏れ日のせいだけじゃない気がする。

「一条くんてそんな冗談言うんだ」

「冗談じゃない、わりと本気」

「ほんとかなぁ……」

でもどうしてかな、ほんのちょっぴり心がほぐれたような気がする。

「どうする?今すぐ戻ればまだ間に合うと思うけど」

「でも、ちょっと怖い」

「そうだな、怖いだろうな」

「……」

「だったらどうする?」

「わからない」

「そうか」

するとちょっと考えてからこんな風に言ってくれた。
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