猫の初恋
「難しく考えなくてもいいんじゃないか?猫宮は後藤と友達になりたいんだろ?」

「だけど、花音ちゃんに申し訳ないから」

「どうして?」

「こんな私なんかじゃ」

「なんで猫宮がそんなに負い目を感じなきゃいけないんだ?」

優しく穏やかに問いかけてくる彼。

なんだか私の気持ちに寄り添ってくれようとしているみたい。

だから、自分でも不思議なくらいするする言葉がでてくる。

「だってそれは……」

彼が言う負い目を感じている理由はいろいろある。

「私には誰にも言えない秘密があるから」

「秘密があったら友達になっちゃいけないのか?」

「それはズルいから」

「秘密くらい誰にだってあるだろ。俺にだってある」

「でも……」

本当の私を知ったら、誰だって気味悪いと思うか恐れられるか、排除されるか。

ちょっと考えただけでも、いいことなんてなんにもない。

人は理解できない異形に対して快く受け入れることなんてない。

そうやって両親から教えられてきた。何百年も前から変わらない真理。

「心配すんなよ」

「え?」
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