猫の初恋


あのグループ分けの一件以来、私はすっかり平穏な日常を取り戻していた。

ううん、それ以上かもしれない。

学校へ行くのが毎日楽しいんだ。

「猫宮さん、おはよう」

「お、おはよう」

朝早めに教室に着くと、扉近くにいた木下くんが気軽に挨拶してくれた。

「猫宮さん今日の髪型可愛いね」

「ありがとう」

すれ違った女子が髪型をほめてくれて照れ笑いで返す。

こんな風に花音ちゃん以外のクラスメイトからも時々話しかけてもらえるようになった。

これまではいるのかいないのかわからいような存在だったけど、あの件以来認識してもらえたみたいでみんなの態度が少しづつ変わってきたんだ。

そして私も、出来るだけみんなの輪の中に入れるように努力したいなって思うようになった。

だって、またこの前みたいなことがあった時、花音ちゃんや一条くんに気を遣わせたくないから。

それに、この教室にたった2人だけでも私の味方でいてくれる友達がいると思うと、心強いんだ。

「おはよう、すずちゃんご機嫌だね」
< 122 / 160 >

この作品をシェア

pagetop