猫の初恋
(話したいことがあるから体育館倉庫の裏に来てほしい。一条)

角ばった文字、お世辞にも綺麗とは言えないけどいかにも男の子っぽい。

「え、一条くん……」

それを見た私の衝撃たるや……。

これってまるで、少女漫画とかでよく見る告白のシチュエーションに似てる。

まさかね、と思いつつも心が揺れ動く。

だけど、私はもう一つの可能性にも心当たりがある。

そんなひとけの無い場所に呼び出すってことはみんなの前では言えない話ってことだよね。

もしかしたら、猫のバニラのことかもしれない。まさか一条くんに気づかれてしまったとか。

確かに、私この前中庭で自分には秘密があるって宣言しちゃったし。

一条くんはたとえ秘密があっても友達になってくれるって言ってたけど。

だけど、私の秘密は普通の人が想定できる限度を超えてる……。

どうしよう、やっぱりお前なんかとは友達になんてなれるわけないだろ、とか言われたらめちゃくちゃショックで立ち直れないよ。

って、さっきの彼の様子からしてそんなこともないのかな。
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