猫の初恋
わからない、さっき彼はなんて言ってたっけ。気をつけて帰れよってそれだけ。

じゃあ、やっぱり告白のほう？

まさかそんな……。

どちらが正解か考えながら歩いていたらあっという間に体育館倉庫にたどり着いていた。

まだ彼は来ていない。

ああどうしよう、緊張してきちゃった。

何を言われようとくれぐれも猫に変身しないように気を付けないと。

ううん、でも無理ー。告白なんてされたら心臓が壊れるくらいドキドキして絶対我慢できないよ。

どうしよう、どうしよう。

1人であれこれ思い悩んでいたら、背後の壁を誰かがよじ登ってきたことにすぐには気が付かなかった。

ダンって音が響いたから後ろを振り返ったら、他校の男子2人が外からうちの学校に侵入してきていた。

なんと彼らは黒門中学の制服を着ている。

明るい金髪でいかつい顔、ガムをくちゃくちゃ噛みながら話す様子はいかにも素行の悪そうな不良。

「え。なに？」

背筋がぞくっとした私は後ずさりをして逃げようとした。

落ちつかなきゃ、私の足ならきっと逃げ切れるはず。
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