猫の初恋
彼らは私の両サイドにつくと私の肩をガッチリと押さえてきた。

「離してっ、やめてよ。一条くんに何をするの?」

そのまま背中を押されて体育館倉庫の中へ。

そして奥においてあるマットに放り投げられた。

「……っ」

尻もちをついてしまった私はすぐには起き上がれなくて呻いていたら、すぐに2人は私を残して外に出てしまった。

「ここで、おとなしくしてろよ」

そう言って、あっという間に横開きの重い扉を閉じられてしまい。

「待って、やめて」

私は急いで扉に駆け寄ったけれど、間に合わなかった。

外側から棒か何かで扉が開かないように押さえられているみたい。

中からドンドンと扉をたたいた。

「開けて、ここから出して」

最悪だ、閉じ込められてしまった。

だけど、近くにはもう彼らの気配を感じない。

集中して耳を澄ませると、さっきの壁をよじ登る音が聞こえる。

壁の向こう側に逃げた彼らの微かな声に耳を澄ませてみた。

「あの子を攫ったって言って一条の奴をおびきよせるんだよな?」

「番長さんはしつこいからな。一度負けたからって意地になってるんだぜ」

「20人近く集めたらしい。それでも一条には手こずるだろうな」
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