猫の初恋
ある日、突然そう言われた時、私がどんなにびっくりしたかなんて彼には想像すらできないだろうな。

クールで女の子にも無関心。

そんなキミが私だけを気にかけるなんて、そりゃクラスのみんなだってびっくりしちゃうよ。

『さっきの猫宮ちょっとかっこよかったな』

『だけど今度もしも同じようなことがあれば俺のことなんて見捨てて逃げてくれよな』

見損なわないでよ、一条くん。

私は絶対にキミを見捨てたりなんてしないよ。

『相手の全部を知らなきゃ友達になっちゃいけないってルールなんてないよ』

『俺は猫宮にたとえどんな秘密があっても友達でいたいけどな』

『それに猫宮が一生隠したいならそれでもいいと思う』

『俺と友達になれる?』

だって、一条くんは私のことを信じてくれたでしょ?

そんなキミだから全力で守りたいの。

かけがえのない友達。

私の大切な人。

「キャッ」

心臓にドクドクと血液が集まるのと同時に身体中が熱くなっていく。

次の瞬間、閃光に包まれた私はあっというまに小さな白猫に変身していた。

「ニャア」

やった!大成功。一条くんを思い浮かべて自分で感情をコントロールできた。
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