猫の初恋
「大丈夫?一条くん。ひどい怪我」
左手で彼を支えて声をかけた。
「……」
だけど、彼は殺気だった目をしてその手を振り払った。
「離せよ、おまえバニラを食っちまったんじゃないだろうな?」
「へ?」
「バニラを返せ。吐き出せよ」
「一条く……ん」
そこでようやく違和感に気がついた。
猫の姿だったはずの私はいつのまにか2本の足で地面に立ち……そして一条くんとほぼ同じくらいの高さに目線がある。
自分の手には木刀が握られていたから、思わず地面に落とした。
顔に触るとゴツゴツしていて汗ばんでいる。
私は私じゃない。
そうだ、間違いない。ある結論に至りごくりと喉を鳴らす。
うそ、こんなことって……。
私は番長になっていた、いや正確に言うと番長の体に取り憑いてしまっていた。
どうしょう、こんなの嫌だよ。
「番長さん、どうしたんすか?なんか内股になってますが」
後ろに控えていた彼の部下の1人がおそるおそる話しかけてきた。
「さっきの猫、いなくなったけど食いました?」
「食べるわけないでしょっ」
左手で彼を支えて声をかけた。
「……」
だけど、彼は殺気だった目をしてその手を振り払った。
「離せよ、おまえバニラを食っちまったんじゃないだろうな?」
「へ?」
「バニラを返せ。吐き出せよ」
「一条く……ん」
そこでようやく違和感に気がついた。
猫の姿だったはずの私はいつのまにか2本の足で地面に立ち……そして一条くんとほぼ同じくらいの高さに目線がある。
自分の手には木刀が握られていたから、思わず地面に落とした。
顔に触るとゴツゴツしていて汗ばんでいる。
私は私じゃない。
そうだ、間違いない。ある結論に至りごくりと喉を鳴らす。
うそ、こんなことって……。
私は番長になっていた、いや正確に言うと番長の体に取り憑いてしまっていた。
どうしょう、こんなの嫌だよ。
「番長さん、どうしたんすか?なんか内股になってますが」
後ろに控えていた彼の部下の1人がおそるおそる話しかけてきた。
「さっきの猫、いなくなったけど食いました?」
「食べるわけないでしょっ」