猫の初恋
「だけど、いつのまにか友達の作り方すらわからなくなってしまってた。次に行った街でも同じだと思う。
一条くんや花音ちゃんのことを忘れたりなんて出来るわけないよ」

話してる途中で涙が込み上げてきてしまった。

「ほんとは私だってずっとここにいたい。
一条くんとも花音ちゃんとも別れたくないよ」

「だけど、私はお母さんの言ってた意味がやっとわかった。
誰かに深く執着すると、人に取り憑いてしまうんだって」

彼に執着しすぎている私。

今度またこんなことになるくらいなら、いっそ離れた方がいいのかもしれない。

「そんなの怖い……」

声を震わせながら呟いた。

「私……一条くんにだけは嫌われたくないの」

1番強く思ったことはこれ。

彼に迷惑をかけたくない、それももちろんあるけど、やっぱり私は彼の前では普通の女の子のままでいたかった。

「猫宮」

彼は小さく吐息をつき額に手をやった。

私は恥ずかしくてたまらなくなり顔を伏せた。

だって、彼を特別な人だと思ってるって心のうちをさらけだしてしまったから。

そんな私に降ってきたのは優しい彼の声。

「バカ、んなわけあるか
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