猫の初恋
家も町一番のお金持ちらしいんだけど、それを鼻にかけていてちょっびりワガママなところがある。

彼女は私の方を軽く睨んでいる。

あ、まただ。

どうやら、私は佐伯さんからはあんまり好かれていないみたい。

花音ちゃんが私に話しかけてきてくれても今みたいにすぐにちょっかいをだして邪魔しょうとしてくる。

でも、私も悪いんだ。

花音ちゃんとしかあんまり関わらないようにしているから。

感じが悪い子って思われているのかも。

私の人見知りっていうのもあるけど、やっぱり母の忠告がいつも頭の中にあるから。

人と深く関わると私に災いがふりかかるかもしれないって。

いつか兄のように自分のチカラをコントロールできるようになれば、そんな心配はしなくてもすむらしいんだけど。

「すずちゃん、出来たよっ」

花音ちゃんは明るく笑って、私に手鏡を貸してくれた。

私の長い髪はポニーテールに結い上げられていて、いつもと違って溌剌とした雰囲気。
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