猫の初恋
猫と兄と不良くん
「すず、なんかいことあった?」

中学校へ登校している途中、兄にそう尋ねられて頬が緩んでいることに気がついた。

「そうかな?」

初夏の爽やかな風を肌で感じながら目を細める。


兄にはその理由がすでにお見通しみたい。

「新しい学校が気に入ったんだろ?友達出来たのか?」

転校してきて1カ月くらいしか経っていないしまだむこうから友達とまでは思われていないかもしれない。
 
だから、こんな曖昧な返答をした。

「優しい子が1人いて」

「良かったじゃん」

「うん、でもお母さんには内緒にしといてね」

「わかってるって」

私の性格を知ってる兄は安堵したように穏やかに笑う。

私、猫宮(ねこみや)すずは中学2年生13歳。

腰まであるストレートの黒髪に前髪は眉毛の下あたりでまっすぐに切り揃えてる。

色白で少しだけ猫目、唇は紅をさしたように赤く日本人形みたいと言われることがある。
< 2 / 160 >

この作品をシェア

pagetop