猫の初恋
ひとつ上の兄、猫宮りんは古風な見た目の私とは違い、生まれつき明るめの茶髪で、瞳は大きくて垂れ目。

身長が高く制服もゆるく着崩していて見るからにチャラ男。

「そっか、なら今回は少しでも長くこの町にいられたらいいな」

「うん」

もう転校した回数なんて数えきれないな。

「母さんの言ったことなんて気にしなくてもいいぞ、すず。
どんどん人と関わって楽しいスクールライフを満喫すればいいからな」

どの口が言ってるの?って思わず突っ込みたくなる。

「そのためにはお兄にもっと気をつけてもらわないと」

能天気に笑う兄を軽く睨んだ。

「なんだよ、すずだって失敗したことくらいあるだろ」

「私はたった1回だけだよ。お兄は数えきれないくらい失敗して正体がバレそうになってるでしょ」

そのせいで、何回も住むところを変えなきゃ行けなくて大変だったんだから。

そう、私を含めて家族全員が世間に絶対に知られてはいけない秘密があるんだ。
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