猫の初恋
勢いこんでそう言ったら花音ちゃんは、目を丸くする。

大好きって言ってもらえて、嬉しすぎてついつい大きな声がでちゃった。

まるで自分のことを好きって言われたような気分だったから。

「すずちゃんってそんな大きな声でるんだね」

花音ちゃんは優しく笑うと、サンドイッチをひとくち頬張った。

「はは、なんか恥ずかしいな」

「よっぽど猫が好きなんだね。飼ってるの?」

「うん」

「何匹?」

「えっ」

私はおかか入りおにぎりを口に運びながら、頭をひねる。

いま、何匹飼ってるんだっけ。

「えっと、今はたぶん20匹くらいかな」

「ええっ!!」

花音ちゃんが想像以上にびっくりしたから、ちょっとまずかったかなと焦った。

猫は飼ってるというか、自然と近所から集まってきてうちの庭に住み着いてる。

お母さんは、「きっと仲間だと思ってくれてるのよ」なんて言っては嬉しそうに餌やりをしてて。
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