猫の初恋
でも普通の家ではそんなにたくさん飼ってたりしないよね。

「あ、言い間違えた、2匹だった」

「そっかあ、そうだよね。びっくりした」

白々しく言い直したら、あっさり信じてくれた。

やっぱり20匹は多すぎるか。

はあ、セーフ。

胸を撫で下ろしていたら、大西くんのすっとんきょうな声が教室中に響き渡った。

「うおー、この焼きそばパン、味うっす」

「そうか?普通だろ」

「こんなこともあろうかとアレを持ってきてるんだよな」

大西くんは、得意げに言ってカバンから小瓶をとりだした。

「俺が配合した特製スパイスをかければ絶対うまくなる」

「またそれかよ」

周りにいる男子たちに呆れ顔で突っ込まれるけど、大西くんは構わずパンに小瓶の中身を振りかける。

ウッ……、何この凄い匂い。

その瞬間、私の鼻はヒリヒリと焼けるような刺激を感じた。
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