猫の初恋
ダメだ、耐えられない。

目が回りそうになるけどみんなは平気な顔をしてお弁当を食べている。

ドクドクと心臓が鳴ってヤバいって思った。

念の為、この場を離れた方がいいかも。

ハンカチで鼻を隠すと、慌てて立ち上がった。

「ごめん、花音ちゃん。私ちょっとお手洗いに」

「え、どうしたの?すずちゃん大変、顔が真っ青だよ」

「う、うん大丈夫」

安心させようと無理に笑ってお腹をおさえた。

ちょっぴり恥ずかしいけど、お腹が痛くてトイレに行くフリをしよう。

「1人で大丈夫?」

「うん、大丈夫だから。花音ちゃんは食べてて」

心配そうにする花音ちゃんを残して、急いで教室を離れた。

うー、それもこれも大西くんのあの激辛スパイスのせいだよ。
一体、中身はどんな配合なんだろう。
想像するだけでも恐ろしい。

廊下を早足で歩き、渡り廊下で立ち止まった。
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