猫の初恋
おばあちゃんに頭や顔を撫でられた私は目を細める。

猫好きな人はすぐにわかるから、安心して身を委ねていた。

「バニラって言うんだ」

「まあ、いい名前ね」

「学校で迷子になってたから連れてきたんだ。明日から親を探すよ」

「そうなのね、じゃあ今日はバニラちゃんのためにご馳走をいっぱい作りましょうね」

ご馳走って言葉に反応したように、私のお腹がキュルルーと鳴る。

「ニャフッ」

恥ずかしかったから慌ててポケットの中に隠れる私。

すると一条くんは、あははって快活に笑ったんだ。
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