猫の初恋
再び歩き出して彼の隣に追いつくと、また話しかけられた。

「ごめんな。猫宮のことを疑ってるわけじゃないんだけど、あの猫がちゃんと元気かどうか確かめないとどうもすっきりしないんだよ」

「そ、そうなんだ」

「どうしてこんなに気になるんだろうって自分でも不思議だけど」

「……」

そんな風に思ってくれてるのはありがたい気もする……って、だからほだされちゃダメなんだってば。

ここはきっぱりと断って一人で帰らなきゃ。

歩いているうちに大通りの商店街の近くまで来ていた。

「あ、あの一条くん」

「ん?」

「あの、あのね」

意を決して断ろうとしたその時。

商店街の入り口にある赤い屋根のスーパーから騒がしい声が聞こえてきた。

「おい、ワン公。よけてみろよ」

キャンキャン、ウウー。

見れば、スーパーの買い物客がペットを繋いでいるスペースで中学生くらいの男子達が犬をからかっているみたいで。

「お、こいつよけやがったな。これでもくらえ」

2匹の小型犬は、白くてフワフワの毛並みで見た目がそっくり。

もしかしたら親子か兄弟なのかな。
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