猫の初恋
「いや、大人数だとさすがに無理。さ、いくぞ」

「うん」

促されるままに一緒に空き地を立ち去ろうとしたんだけど。

「おいおい、なんだよ。女連れかよ。生意気だねー」

「一条、今日こそ覚悟しろよ」

空き地に沿った道路に10人以上黒門の制服を着た男子がぞろぞろと歩いて来ていた。

そしてあっという間に私達を取り囲んでしまった。

私はこくりと息を呑む。

どうしょう、さすがに数が多いよ。

「あーあ、派手にやってくれたな」

そのうちのリーダーぽい男子の1人がさっきの3人の様子を見て舌打ちする。

もしかしたら、この人がみんなが噂していた黒門のリーダーの番長っていう人かな?

名前も地位と同じく番長っていうらしい。

彼は一条くんより身長が少し低くてやせ型、頭は目の覚めるような銀髪で神経質そうな黒縁眼鏡をかけている。

喧嘩が強い肉体派っていうよりもインテリ風の頭脳派に見えた。

「結構、可愛いじゃん、おまえの彼女か?」
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