孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




ごめんなさいっ!と、興奮は抑えられないままに頭を下げる。


さっそく数日後、私は海真くんと一緒にお買い物へとやって来ていた。

お皿や箸など、ふたり暮らしの最低限を揃えるために。



「次はおれがよく行ってる激安スーパーね。野菜は基本詰め放題だったっけな」


「詰め放題って……なに…?」


「ああそっか、概念の説明からか。んーっと、言葉の通りひとつの袋に入るぶんなら個数制限しませんよーって感じ?」


「そ、そんなのあるの…!?それって……合法…?」


「ふっ、ははっ、スーパーでそれぜったい言うのナシだわののちゃん。店長さんたぶん怒っちゃうから」


「……はい。気をつけます」



100円ショップで雑貨や日用品を揃えたあとは、商店街を抜けた場所にあるスーパーへと向かう。

自分はそこまでのお嬢様ではないと思っていたけれど、やっぱりそこまでのお嬢様だったのかもしれない…。



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