孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




こういう毎日がずっと続くのかな…。

私のせいで海真くんを危険な目に遭わせてしまうことは避けられない。



「なんかおれ、生きてるって感じする」


「っ…、いい、意味…?」


「当たり前。…充実してるよ、すごい」



そのときピリリリーーーと、私のスマートフォンが鳴る。

“財前 一朗太”という名前を見てから、海真くんはスピーカーにして受け取った。



「…はい」


『おお、これはこれは先ほどは失礼いたしました。僕、乃々の婚約者である財前と申します。お見苦しいところを見せてしまい、申し訳ございませんでした』



どういうつもりだろう。

打って変わって記憶でも消したのだろうか。


まるで人そのものが変わってしまったかのような声に、私は気持ち悪さを通り越して恐怖を感じた。



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