孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




むしろおれだってずっと死にたかったんだ。


生きてる意味も分かんなくて、なんでおれだけ生きてんだろって、死んだほうがラクかなとか思ってた。

だってみんな、家族みんなそっちにいるのにさ。


でもののちゃんに出会えた今を考えたら、生きててよかったって、これ本当だよ。



「ののちゃんはどこ?あいつは?」


「どっ、どうして……!」


「どこだって言ってんの」


「っ……、きっと、3階の書斎…よ」



すぐに部屋を飛び出す。



「どうせもう手遅れよ…!」



こんな豪邸に住めたら、確かに心地はいいんだろう。

心地はいいんだろうけど、ここはあの子を泣かす場所だ。


だったらおれはワンルームでいい。


ののちゃんからすれば窮屈で手狭かもだけど、おれたちにはこんな広い家じゃないほうが絶対いーよ。

だって、狭いほうが泣いてるののちゃんをすぐ抱きしめてやれるじゃん。








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