孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。
「もういいっ、ぜったい僕から逃げられないようにしてやる……!!」
「な……に、」
腕を掴まれて、嫌悪感。
覆い被さられて、嫌悪感。
顔をぐいっと掴まれて、キスをされそうになってかろうじて避ける。
私のそんな行動は分かっていたのか、彼はすでにその先を見据えている眼差しだった。
「やだ…っ、やめて……!」
「うるさいッ!!」
一応は正装をしてきたワンピースがビリッと破られた。
がむしゃらに私の服を脱がそうとしている男はもう、理性をなくした野生動物だ。
目の前が私ではない女だとしても区別などつかないんだろう。
「────………なんだ……これは…」
私のワンピースを乱暴に脱がせてから、息を飲んだ財前さん。
首は隠せられないからダメだよ、海真くん。
じゃあ他のとこならいい?
ののちゃんはおれのってシルシ、いっぱい付けときたい───、
ちょっと恥ずかしくてドキドキするそんな会話が、私は好きだった。