孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




「ちがう…ッ!違うちがう違う!!こんなの僕が知ってる乃々じゃあない……!!」


「……私、だよ。これが……私なんです」


「だまれッッ!!胸も腕も腹も足も……ッ、ふざけるなァァ……!!」



私はあなたのものじゃない。

ココロだけじゃなくカラダも、ぜんぶが海真くんのもの。


すごいでしょう。

ここにお金なんか、なんにもかかってないんだよ。


それなのに心は満たされて、幸せで幸せで、こんなに幸せなことがあるんだって毎回思うの。



「あなたとなんか…ぜったいに結婚しない……、そんなことするくらいなら、死んだほうがマシ……っ」


「くそお……っ、僕じゃない男と…っ、僕じゃない男とぉぉぉぉうううぅぅあああああァァァッッ!!」


「うぐ……っ!」



わしづかみされた髪の毛。

もしかするとこのままボコボコになるまで殴られて、本当に死んでしまうかもしれない。


海真くん…、海真くん。



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