孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。
考えるだけで楽しみだ。
そう、新作ラテ。
街を歩く学生たちがいつも入っているカフェがあって、1度でいいから行ってみたかった。
でも海真くんは逆に行かないかもしれないなって思ったら、自動販売機のジュースを一緒に飲むような、私はそっちのほうがいい。
「…そんで最期はさ。しわくちゃなおれに見守られながら、しわくちゃなおれの腕のなかで、しわくちゃになったののちゃんはゆっくり目を閉じてくんだ。……きっと最高な景色だよ」
最初におれ、言ったでしょ───?と、耳元で私しか知らない声。
『最期を迎える場所なら、もっといいとこ知ってる。…いつか案内してあげるよ。だからそれまででいいから………生きて』
そういうことだったんだと、もう我慢することをやめた涙はポロポロと流れる。
あんなふうにひとりで寂しく冷たく死んでいくのなら、ぜったいにそっちのほうがいい。
しわくちゃな彼の腕は、きっと今以上に温かいだろうから。