孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。
「ハンバーガーとポテトの美味しさに気づいたオジョーサマ。…っと」
────カシャッ。
しょっちゅうあった。
海真くんが私の姿をそうして写真に収めること。
「ののちゃん、こっち」
「わっ…」
両手でハンバーガーを持った私の肩、ぐいっと引き寄せられる。
インカメラにして、そこに優しい顔をした海真くんが一緒に映っていた。
「っ…!」
シャッター音といっしょに、頬には柔らかい感触。
私の驚いている顔がスマートフォンには保存されたはずだ。
「ソースついてた」
ペロッと舌を出して誤魔化しているけれど。
見るかぎり付いていなかった、ぜったい。
また初めてを教えてもらって、いっしょに初めてを体験して。
そんな帰り道は、私から海真くんの手を握った。
「────……この……女性が…」
「そ。…おれの姉ちゃん」
お家に帰ってぜんぶを打ち明けたとき、海真くんはとある引き出しからひとつの写真を取り出してきた。
写真もぜんぜん持っていないと言っていた顔は、あまりにも切ない。