孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




「だからののちゃんの写真はいっぱい撮っておこうと思って。…後悔はもう、したくないから」



とてもよく似ていた。

どこが、と言われれば、目がいちばん似ているかもしれない。


これは彼のお姉さんが持っていた1枚らしく、ふたりで撮ったものはそれしかないと。


そんな彼女はもう、亡くなっている。



「お姉さんが亡くなった…理由…は、」



またそこにも“こたえられない理由”があった。

眉を寄せて精いっぱいの微笑みをした海真くんを問い詰めるつもりなんかない。


そんなのしない、しなくていい、する必要なんかない。



「…ののちゃん」



ぎゅうっと、どうしたらいいか分からなかったから抱きついた。


こんな勘違いをして話させてしまうだなんて。

ここまで大事なことを、私の小さな小さな嫉妬心で打ち明けさせてしまうだなんて。


自分が情けない、情けない。



「おれとずっと一緒に……いてくれる?」


「うん…っ」


「おれの家族に…、なってくれる?」


「っ、なる、なるよ……っ」



私だけじゃないんだ。

何かを抱えて、苦しくて辛くて、どうしようもない思いに駆られているのは。



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