孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。
ふたりのお家
「遠坂さん、いったいどうしたの?こんな点数を取るだなんて…」
「…すみません」
「しっかりお復習しなさいよ。あなたはこの学園の名前も背負っている自覚をもっとなさい」
「……はい」
帰ったらまず、お買い物。
夜ご飯を作って、できる限りはバーのお手伝いをする。
そんな毎日は私にとって楽しくて充実していたけれど、私が通う高校から見れば「なにをしているの」と言われる結果となってしまっていた。
「遠坂さん、大丈夫?今までは学年でも上位だったじゃない」
「…すこし、いろいろあって」
「もしかしてお母様のお仕事に何かあったの?なんでも相談して?」
「……ありがとう」
本当はそんなこと思ってもいないくせに。
もし私のお母さんのブランドに何か問題でも起きたなら、きっとクラスメイトたちは私のいないところで高笑いをするはずだ。
私の学校生活はこんなふうになってしまったけれど、私生活でも壁にぶつかっていた。