孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




「姉ちゃんはおばさ……玖未さんみたいなタイプだったから」



海真くんの選択を信じている玖未さん。

そして海真くんがあたまを下げたほど、信頼を置いているひと。



「無理は、してない…?」


「してない」


「我慢…、してない…?」


「してない」


「ほ、本当にして───」


「ののちゃん」



ほら、大人びた顔。

少年のような顔より、最近はずっとずっとこんな顔をするようになった。



「おれだって男なんだよ。…17歳がこんな長いだなんて、思ってもみなかった」



私もだよ。

でもきっと本当にすべてが解決したら、海真くんとの毎日は早く過ぎていくんだろうとも思う。


目指す場所はあなたのしわくちゃな腕のなか。

そこで最高な景色を見て、初めて会ったときに流したものとは正反対の涙を私は流すの。


そんな未来が、欲しい───。



< 198 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop