孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。
「姉ちゃんはおばさ……玖未さんみたいなタイプだったから」
海真くんの選択を信じている玖未さん。
そして海真くんがあたまを下げたほど、信頼を置いているひと。
「無理は、してない…?」
「してない」
「我慢…、してない…?」
「してない」
「ほ、本当にして───」
「ののちゃん」
ほら、大人びた顔。
少年のような顔より、最近はずっとずっとこんな顔をするようになった。
「おれだって男なんだよ。…17歳がこんな長いだなんて、思ってもみなかった」
私もだよ。
でもきっと本当にすべてが解決したら、海真くんとの毎日は早く過ぎていくんだろうとも思う。
目指す場所はあなたのしわくちゃな腕のなか。
そこで最高な景色を見て、初めて会ったときに流したものとは正反対の涙を私は流すの。
そんな未来が、欲しい───。