孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。
「じゃあ逆にすっごい覚めること、しようか?」
「っ…、それ、覚めるどころか立てなくなっちゃう」
「……ね。立てなくなっちゃうね」
心臓がドキドキと起き出したところで、私は真っ赤に染まる耳を隠すようにむくっと身体を起こした。
トーストにバターを塗って、作品でもある目玉焼きを乗っける。
ここにレタスとトマトを追加させてオーロラソースをかけても美味しそう……と思いながらも、彼らしい不慣れな朝食を幸せな気持ちで食べた。
「10時には出るよ。準備できてなくてもそのまま連れてくから今日は」
「……なにかあるの?」
よくぞ聞いてくれました、と。
私が大好きな顔を向けてきた海真くん。
「おれたちの新しい家、見に行こう」
候補はすでに絞っているらしい。
今日は実際に見てみて、私の意見を聞いて、その上でまた海真くんは考えるのだと。
ここは男の正念場でもあるからと、玖未さんには見守ることを勧められていた私。