孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




「ひとりってね、…あんたの目の前にいるのは誰よ」


「……おばさん」


「そうおばさん。ハタチでピッチピチの酒豪なおばさん!!…と、そんなおばさんといずれ結婚予定の店長ね」



わかってるよ。

ここまで自分のことみたいに心配してくれる玖未さんと店長にはありがたいと思ってる。


でもさ、意味ないんだよそこにののちゃんもいないと。



「…海真のかわいい奥さん。きっと泣いてんだろーね今頃」


「……迎えに行ってくる。おれの家族だから」


「よし。よく言った!」



もうすぐクリスマスだよ、ののちゃん。

たぶんお母さんに話をつけにアメリカに行くのすら、だんだん不安になってたでしょ。


おれ分かるんだよ。
ずっと君のこと見てたから。


クリスマスイブの日、おれ、遊園地のチケット取ってた。

そこでめいっぱい楽しんでイルミネーション見て、ちょっと背伸びしたホテルも予約してたんだ。



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