孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。
やめて、やめて。
なにが残念なの。
私の大切なひとたちの情報ばかりを集めて、あなたは一体どうする気だというの。
『最後に水渡 海真くん。すごいわ彼。ピアノの才能があるらしいわね。……そういえばお母さん、音楽関係にも顔があるのよ』
言われなくても分かった。
私本人が言うことを聞かないのなら、周りから潰していく気なのだと。
お金があると、ここまでできてしまう。
「そんなのやめてよ……っ、みんなはなにも関係がないの、関係ないでしょ…っ」
『あるわ、今はまだ。だから乃々が関係を切ればいいだけ』
「………そしたら……、みんなに…手、出さない…?」
『ええ。もちろん』
私は海真くんがピアノを弾いている姿が大好き。
プロのピアニストは目指していないと言っていた海真くんだから、音楽関係に関してはどう手を回されたとしても大丈夫な気もする。
けど、あのバーで弾いている海真くんが私は大好きなんだ。