孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




「あ、どうも初めまして。えっとー、ののちゃんのクラスメイトの山田っていいます」



海真さん、私は女子校です。

それに山田さんなんてクラスメイトもいません。


たぶん電話越しに使用人も同じようなことを言ったから、海真さんは苦笑いを浮かべているのだ。



「そのクラスメイトの、弟でしておれ。なんかお姉ちゃんがののさんと街でたまたま会ったそうで。意気投合して今、うちにいるんですよ」



……いける?

けっこう無理やりじゃなかった…?



「うちとしては泊まっていってもいいんですけど。……あー、パーティー。うんうん、確かに明日も学校ですもんね。…わっかりました。うちの使用人に22時までには送らせますんで、はい。どうもー」



泊まっていってもいい、に、嬉しくなって。

送らせますんで、に、落ち込んだ。



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