孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




ごめん、ごめんね、ごめんなさい。

謝るなら行動で示して───と、唇の隙間から言われる。


こんなにも私から積極的に応えられるとは思っていなかったようで、彼はそれ以上に激しさを増した。



「もっとっ、海真くん、もっと」



財前さんからされそうになったところをどうにか言ってまでも避けつづけていた。


初めては高級ホテルの最上階。

夜景がきれいで誰も入ったことがないようなスイートルームがいいです、なんてお嬢様らしいことを言ってまで。



「隣のおばさんにまた怒られるかもだけど…いっしょに謝るんだよ。ののちゃんも」


「…うん…っ」



少しだけ血の味がするキスだった。

喧嘩が多くなってしまったのは、絡まれる率が高くなってしまったからなのだと。


しっかり歩けないくらい精神が弱っていたのは確かで、それだけじゃなく応戦することで感情を晴らさせてもいたと。


最近バーにあまり顔を出さなくなっているのは単純に、学校に行く頻度を多くしたから。

私とのことが白紙になり、お金を稼ぐ理由も大してなくなったから。


そして中学時代の同級生に再会したりして、夜中まで遊び呆けてしまっていたこと。



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