孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




いつになるか分からない。
彼がいつ、私に飽きる日が来るのか。

子供が生まれてしまったらどうするの。


私は自分のお母さんみたいになりたくないから、子供だけはどうしても可愛がってしまうと思う。


…………海真くん、嫌だよそれは。



「本当に……そんなので、いいの…?」


「やだよ」


「っ、私もやだよ……っ」


「でもおれ、今回のことで自分の無力さに気づいた。だからその頃になってやっと、おれだって人並みの稼ぎや生活ができてるとも思うし」



なくていい。

人並みの稼ぎや生活だなんて。

いっしょに頑張りたい。
いっしょに支え合いたい。



「だとしてもこれだけは誓える。おれには……ののちゃんしかいない」



この人がいい。

言葉だけでもここまで心が満たされて、それ以上を与えてあげたくなる。


そんなの、海真くんだけ。



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