孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




学校なんか1日くらい、いいじゃない。
パーティーだからなんなの。

パーティーだから帰ってこいって?


藤原さんもお母さんの顔色を伺いすぎて、馬鹿になっちゃってる。



「それ飲んだらゆっくり帰ろう。おれ使用人とかいないからタクシーになるけど、ごめん。ふつーに嘘ついちゃった」



現実ってこんなものだ。
結局は戻らなくちゃいけない。

好きなようにはできない。


でも、この街にいる少年少女たちは。

そこに関しては自由にできたりするんだろう。



「店長、おれ早退でいい?」


「…逆に閉店までいたことあったか」


「…ないかも。てかさ、おれ一応は高校生だし。働けるとしても22時までじゃん」


「そういうときに限って使ってくるんだよな、おまえは」



もっと時間をかけて飲めばよかった。

喉が渇いていたこともあって飲み終わってしまったオレンジジュース。



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