孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。




新しいお家だって、クリスマスの遊園地だって。

この………指輪だって。


私たちは叶わないことばかりだったね。



「私の…っ、せい……っ、ぜんぶわたしのっ、私の……っ!!」


「…ちがう。あんなにも毎日生きている海真を見たのは…、俺も初めてだった」



誰もが言う。

自分のせいだと、だれもが。


今日という日にシフトを変更させた自分のせいだと店長さんは言って、仕事を優先させて海真くんからの相談を後回しにしてしまった自分のせいだと玖未さんは言う。


もっと早くに駆けつけていればと、医者たちでさえ。



「ふっざけんなよ海真……ッ!あんたっ、寝てんなっつーの海真ァ……!!それはあんたがいちばん…っ、いっちばんさあ…っ、それだけはこっちの世界で乃々ちゃんに渡さなきゃいけないモンじゃんか……っ、なんとか…っ、なんとか言いなさいよお……ッ!!」



玖未さんの悲痛な叫びを聞いて、私の意識はプツリと途絶えた。








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